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遺伝子の機能予測

1.機能未知遺伝子の機能予測

 現在、データベースの中にある多くの遺伝子は未だに機能がよく分かっていません。このような遺伝子の機能解明には生物実験が必須であり、当社は必要となる生物実験を予測することができます。

 2002年まで、ヒトのKank遺伝子の機能が未知でした。私はバイオインフォマティクスの予測を行うことにより、このたんぱく質の中にNLS(nucleus location signal)やNES(nucleus export signal)モチーフが存在していることが分かりました。培養細胞の中にNLSやNESモチーフの変異体を導入したところ、Kankたんぱく質が細胞核に進入する現象を発見することができました。

参考論文:

Wang Y, Kakinuma N, Zhu Y, Kiyama R (2006). Nucleo-cytoplasmic shuttling of human Kank protein accompanies intracellular translocation of β-catenin. J. Cell Sci. 119, 4002-4010.

2.​機能既知遺伝子の新機能予測

 多くのたんぱく質分子は複数のドメインやモチーフを持っているため、一つのたんぱく質が複数の機能を有することがあり、知られざる機能を持っている場合もあります。そこで当社はバイオインフォマティクスの手法を用いることで、機能既知遺伝子の新機能を予測することができます。

 例えば、マウスのJdp2(Jun dimerization protein 2)たんぱく質は163個アミノ酸残基しか持っていません。Jdp2はbZIPドメインを有しているから、二量体になりますし、いつも細胞核内に検出されました。しかし、バイオインフォマティクスの予測によって、このbZIPドメイン中にNESモチーフが存在し、bZIPドメインの上流にNLSモチーフも存在します。培養細胞中にNLSやNESモチーフの変異体を導入し、Jdp2たんぱく質が一定な条件で細胞質にも存在する現象を発見しました。

参考​論文:

Wang Y., Murata T., Pan J., Yokoyama K.: “Subcellular localization of mouse JDP2 protein.” 20th IUBMB International Congress of Biochemistry and Molecular Biology and 11th FAOBMB Congress, Kyoto, Japan, Jun. (2006)

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